【問題を解決する】

ツイッター 9月9日


おばあちゃんは、僕が一人暮らしをはじめてからずっとLINEで「どこにいるの?ご飯は食べているの?」と心配していました。僕はおばあちゃんには、まともに話をせずに実家を出てしまったので当たり前です。僕は最初は面倒くさいなと思いました。放っておいてくれとも思いました。

僕は、家族のことであっぷあっぷになっていました。僕だけ一人で過ごす時間が欲しくて、一人暮らしをはじめたくなりました。しかし、当然反対されることもあるだろうと思いましたから、おばあちゃんや、他の兄妹にもあまり説明もせずに準備をしていました。それがそもそもいけなかったのです。

僕が自分の時間が欲しいのは、悪いことではないのだから、正々堂々とやればよかったのに、なぜだか僕はこそこそしてしまった。今年の夏は引っ越しもあったし、慣れない土地で僕もいっぱいいっぱいだったから、家族から逃れることにばかり集中してしまった。結局精神的に不安定だとミスをしてしまう。

新しいことを始める場合は、やはり精神的に安定させておかないと、必ずミスにつながる。そうなると、結局自分が後々困る。いつもそれには、重々注意しているのに、今回は先走ってしまった。結果、おばあちゃんに心配をかけることになってしまった。僕は、自分のミスに途中で気が付いて本当に良かった。

自分のミスに気が付いたら、即修正した方が良いに決まっている。特に人間関係ならなおさらだ。そのまま放置しておけば、どんどん悪くなってしまう。最終的に自分ではどうにもならなくなってしまう可能性だってある。人間関係をうまくやることが苦手だから逃げることも出来るが逃げても追いかけてくる。

何故逃げても追いかけてくるのかは、理由が二つある。それは、今回こじれた相手が「家族」だからだ。しかも、散々お世話になった相手だから余計にだ。そして、もう一つは、「自責の念」からだ。問題から逃げたことによって、最初はせいせいするだろうが、そのうち自分を責めることになってしまう。

家族からと自責の念にも追いかけられるんじゃ、間違いなくまともな精神状態でいられそうにない。仕事にも影響が出てさらに不安定が悪化するだろう。そう考えると恐ろしい。今すぐに解決しておかないと大変なことになってしまう。自分のミスは自分で尻拭いしなくてはいけない。僕は問題解決を決めた。

僕は、とにもかくにも実家に帰った。自分の部屋は後回しだ。仕事が終わったら実家に帰り過ごす。起きたらおばあちゃんにいつものように挨拶をし、何か変わりはないか確認する。僕がやっていることを知っている母は僕の様子をただ見ていた。おばあちゃんは、初日は特に何も言わなかった。

翌日、朝僕が仕事が終わるとおばあちゃんからLINEが来ていた。FAXを購入したいが一緒に行ってほしいとの依頼だった。僕にとっては渡りに船である。いつもなら、断るだろうが、またとない失敗挽回のチャンスである。僕は、即座にOKを返信し、急いで着替えておばあちゃんの元に走って行った。

返事が早かったのが良かったのか、おばあちゃんはニコニコしていた。僕は今日は「おばあちゃんサービスデー。」にするぞと意気込んでなんでもご用命くださいという覚悟だった。早速ランチに誘われたのでもちろん即快諾。何が食べたい?と聞かれたので、もちろんおばあちゃんの好きなものでと返事した。

結局、おばあちゃんお気に入りのお寿司になり、僕は文句も言わずにお供した。さあ、ここからが本番である。僕は、まずはおばあちゃんの話(愚痴)をウンウンごもっとも、と頷きながら、寿司をうまそうに頬張りニコヤカにする。傍から見たら気持ち悪いくらいのゴマすりぶりであるが構わず続ける。

ここで忘れてはいけないのが、女性の取り扱い方である。この時のためにネットで調べたんだから大丈夫だ。いくら年をとっても女性は女性だそうだから、おばあちゃんにも当てはまるはずだ。僕は、服装をお洒落だと褒めて、腕時計を綺麗だと褒めた。おばあちゃんはとっても嬉しそうだ。笑顔満載である。

お茶を甲斐甲斐しく勧めたり、ガリを取り分けてやったり、お寿司を交換したりと、僕は一生懸命である。お蔭で、本物の女性とのデートにも役に立ちそうだ。まあ、そんなことはいいとして、最後のお口直しのコーヒーをいただくところでも、僕はせっせとミルクを入れてやったりしながら口火を切った。

まずは、今回の一人暮らしに先立っての非礼をわびて、心配かけたことを謝罪した。おばあちゃんは、ふんふんと聞いていた。僕は続けて、一人暮らしをはじめる理由と、僕の特性の話や、人からの刺激でストレスがたまってしまうと仕事に影響があることも話し、引っ越しが影響したことも付け加えた。

僕の話をおばあちゃんが、一通り聞いた後に、僕は疑問に思っていたことを質問してみた。「なぜ、僕のことが心配なの?」すると、「だって、心配なんだもの。」と答えた。そして「いくら成長したといっても、まだまだ子供なんだから心配するのが当然です。」とのことだった。僕は今度はフムフムと聞く。

おばあちゃんは、自分から見た子供。つまり僕の母のこともまだ心配なのだと言う。なんでまたもう何年も前にとっくに自立して、おまけに子供までいる母のことが心配なのか突っ込んで聞くと「子供だから。」だそうである。やはり親は子供のことは生涯、どんなに立派になっても心配なのは事実だった。

お寿司屋さんでひとしきり話しこんだ後、僕とおばあちゃんは、もうすっかりわだかまりが消えていた。そもそもの目的の電器屋さんに行き滞りなくFAXを購入した。帰宅途中、「おばあちゃん喉乾かない?」と気遣うことも忘れない。セブンイレブンに寄りホットコーヒーをもちろん僕が奢った。

あっつあつのホットコーヒーが出来る様を説明してやりミルクをたくさん入れておばあちゃんに渡すと、とても美味そうに飲んだ。そうしてやっとこ帰宅し、早速僕はFAXを設置してやった。実はこの時点でもう僕が限界だったが、歯を食いしばって耐えた。今日はおばあちゃんサービスデーなのだから。

FAXが正常に動くと、おばあちゃんはMAXニッコニコになった。やれやれ。僕は少しは見直してもらえただろうか。今回のことでまた人付き合いの勉強が出来た。きっとこういう家族との関わりを失ってはいけないですよ、ということなんだ。そして、家族というものは切っても切れないということなのだ。

おばあちゃんは、「応援しているからこそ心配しているのだからね。」と言ってくれた。僕のように、こうやって関わってくれる家族が居ることは、感謝しなくてはいけないだろう。僕が人が嫌で関わり方がわからないからこそ、家族が必要なのだろう。家族が居ない人、頼れない人だって居るのだから。

僕は贅沢なんだ。自分のことばかりで駄目だった。家族が居るだけで幸せ者なのだから、大切にしなくっちゃいけない。おばあちゃんは、さすがに長生きをしているだけはある。僕にぱぱっとこういうことを教えてくれた。まだまだ未熟な僕を見抜いたからだろう。僕はもう少し実家に留まることに決めた。

実家と部屋との往復になってしまうし、事務所も行かなくっちゃいけない。面倒だが、自分で決めたことだしやってみよう。信頼を得るためには、やはり行動を見せるのが一番いいはずだ。でもたまにきつくなったらちゃんと自分で言おう。LINEでもいいから素直に言おう。その方が人間らしいんだからね。

おばあちゃんサービスデーは成功したので、僕も気持ちが晴れた。もう一人暮らしをこそこそしなくていいし大丈夫。なぜこんな簡単なことを避けていたのかわからないくらいだ。案外家族というものは、心に余裕があって許してくれるのだろう。許してくれるから家族なのだろうか。例外もあるだろうけれど。

今日、問題を少し解決した気持ちになったので、久しぶりに物凄くお腹が空いてきた。ふふふ、やっぱり僕は緊張して、自分で自分の首を絞めていたみたいだ。良かったよ。精神状態が良くなると、人間はお腹が空くんだな。いっぱい食べて僕は仕事をした。これが生きているってことだ、と大げさに思った。




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