僕はコロコロが大好き
朝妹が学校に行く準備をしているときに
制服にコロコロをしたくて仕方がない
今朝もコロコロを持って
妹の周りをウロウロして
隙を見てコロコロしようとする
綺麗にしてやりたいだけなのに
「コロコロさせてやるほど暇じゃない」
と言われる
思いを遂げられずがっかりだ


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小学生の秋「秋を探しに行きましょう。」
と先生は言った。
皆は「はーい。」と元気に答えたが
僕は一人で
「なんかまずいことになっているのかもしれないな。」
と思った。
小高い山に引率され、てっぺんに到着すると
先生は「秋を見つけましょう!」と再度言った。
僕はアキという子を探した。

僕は必死になってアキを探す。
皆は手にドングリやら、色づいた葉っぱを手にブラブラしている。
「遊び半分でやっているんじゃ、捜査の邪魔だな。」
と、僕は眉をひそめ、やれやれと気を取り直して捜索を続ける。
一体どこに行ったんだ。
行方不明になりそうな薄暗い山には、栗も落ちていた。

栗は、とがった針に覆われて、凶器になりうるくらい鋭利だった。
「おお、恐ろしい。これは危ない。もしやアキという子も・・。」
と、絶望的な妄想をしながら、僕は山の中を捜索する。
僕は、リュックに朝母が突っ込んでくれたビニール袋を取り出し
何かの証拠を集めようと、足元をジロジロ見た。

捜査では、よく犯人の足跡を採ったりする。
僕も、目を皿のようにして、足跡がないかを見るがよくわからない。
そもそも、皆があちこちに走り回っているので、現場は荒らされ放題だ。
僕は「チッ」と舌打ちをして、周辺の子供たちの騒ぎにイラついた。
ここじゃまともに探せそうにも無い。

すると、背後から誰かが声をかけてきた。
「どうかな?見つかったかなー!?」
非常に明るい声で、笑顔な先生であった。
僕は、その顔に苦悩の表情で返し
「そうそうすぐには見つかりそうにもありませんね。」
と返事をした。
「そっか、よく探してね!そして持ち帰りましょうね。」
と言った。

先生はそう告げ僕の肩をポンポンと叩き去っていったが
その後ろ姿に僕は
「連れ帰る、の間違いだろうが。」
とつぶやいた。
結局、アキという子を発見に至らずに
「皆さん!集合でーす!」
という掛け声とともに、捜査は終了した。
しかし僕はビニール袋に証拠になりそうなモノを採取した。

証拠は持ち帰ってよく確認し、調べてみよう。
そう僕は思い、学校まで大切に持ち帰った。
それにしても、皆は使えない。
子供は皆そうだ。
煩いし集中力も足りないし、邪魔しかしない。
教室に帰ると先生が
「皆の秋を見せてくださいー!机の上に出してみてね。」
と言った。
は?
アキを見せる?

皆は口々に
「はーい。」
と元気よく返事をし、
それぞれ持ち帰ったビニール袋の中身を机の上に出した。
僕は大切な証拠なので、迂闊には出せずにいた。
机の上に何も出さない僕に先生は
「みらいくんは何を見つけたのかな?」
と聞いた。
僕は
「残念ながら発見には至りませんでした。」
と言った。

先生の目はキョトンとして、僕を再度見た。
「まあ、よくテレビでそう言うじゃないですか。
しかし、一応証拠になりそうなモノを集めてきました。」
先生は、黙ったまま僕をじっと見た。
これは、疑われているかもしれない。
僕はサボっていたわけではないぞ、
と思いビニール袋を取り出した。

机の上に、ビニール袋からそっと拾ってきたものを並べた。
ガラス片、小石、大きめの石、現地の砂、何かの種、
腐りかけたようなビニール片、腐食した葉。
先生にひとつずつ見せながら
「これを検査すれば何らかの痕跡が見つかるかもしれません。」
と言った。
先生は、黙ったまま僕を見つめ続けた。

僕は授業が終わった後に、先生に呼ばれ、
拾ってきたものが何故秋なのかを聞かれた。
「何故と言われてもアキに繋がるかもしれない証拠に
なりうるかはこれからの検査次第です。」
と言ったところで、
先生は
「検査しないとわからないの?」
と言った。
 「当たり前でしょう。」
と先生は馬鹿なのかと思った。

僕は続けた。
「証拠は、綿密に調べれば、もしかしたらアキの痕跡が残されているかもしれません。
それと、残念ながら現場が荒らされて足跡が採れませんから・・」
先生はうんうんと頷きながら腕を組み
「そうそれで、秋を検査するとわかると思うのね。
たとえば葉っぱが腐っているからとかね。」

「アキを検査するわけではありません。
アキの痕跡を検査すると言っているのです。
腐った葉っぱから何かの証拠が採れるかもしれませんし、
DNAとか、血痕とか唾液とか。」
先生は、
「痕跡?」
と混乱したような顔を見せた。
「いえ、わかりませんか?」
と僕が言うと、
先生は
「ん、ちょっと待って。」

「みらいくんは、いったい何を探しに行ったと思っているの?」
と聞かれた。
思っているだって?思うとは、どういう意味なのだろう。
思うも何も無いだろう。
そのままアキを探しに行っただけであって。
僕は、先生に
「アキという子ですよ。」
と言い
「先生が探そうと言ったじゃないか。」

「アキを見つけると、そう言いましたよね?
行方不明なんですよね?
それで皆とあの山に連れて行かれた。
だから僕は一生懸命探しましたが、発見しなかったので、
証拠になりそうなモノを持ち帰ったという次第です。
何かおかしいですか?」
先生はそこでハッと息を飲んで、すべてを悟ったような顔をした。

僕は、説明を受けることになった。
先生は黒板に「秋」という文字をチョークで書き、
アキという子を見つけに行ったのではなく、
秋を見つけに行ったこと。
また、秋を見つけるとは、秋を連想させるモノの事であるということ。
黒板にグイグイと矢印を書き
「秋→ドングリ、紅葉、栗、松ぼっくり」
と書いた。

そして僕を勘違いさせたこと、
意図の違う捜索をさせてしまったことを、
「ごめんね、まさかそう考えるとは思わなかったのよ。」
と言った。

僕は抽象的な言い回しは理解しにくく、
特に指示に抽象的な言葉を入れられると、
言葉そのままを受け止めてしまう。
小学校一年生の秋、
僕の捜索は終わった。 




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