僕のRPGは現実世界になる  第二話

※文章中の出来事は全て実話です。創作ではありません。
尚、身バレしない程度にフェイクを入れる箇所もありますがご了承ください。
(ほぼそのままですが)

第一話はこちら


「アル!」
僕は街に二人で行ったころからアルをすっかり呼び捨てにするようになっていた。
僕のネトゲ内での呼び名はライ。
だからアルは僕のことを「ライ!」と呼び捨てにしていた。

僕に呼ばれたアルは剣を出して返事する。
「あっちだ!」
アルが剣で指し示した方向には、息をのむほど不気味な骸骨がいた。
大きなモンスターがひしめくここはダンジョン。
地下牢のようなところにうようよと、ロウソクが灯るだけの場所で僕たちはレベルを上げていた。
突然毒グもが襲ってくることもある。
そんな時は僕が先陣を切って縦となり、アルがとどめを刺す。
そんな狩りの仕方が自然とカタチになっていった。
ダンジョンは危険だが、ここは経験値もうまいし、モンスターを倒してもらえる報酬も高額だ。
最初は入口で二人してやられてしまい、死んでしまったが、何度もトライしてやっと狩りと言える位にまでお互いに腕を磨いた。
そこでわかったことがある。
何でもかんでも突っ込めばいいというわけではないということだ。
敵が大きければ大きいほどそうだ。
よくよく作戦を練り、タイミング良く斬り込まなければただ犬死するだけだ。
僕たちは、死んだりしたときは、何故そうなったのか反省会をした。
たかがネトゲだが、二人にとっては真剣である。

「いいか?相手の動きをちゃんと見るんだ。不規則に動いているように見えて実は同じだ。」
アルはそう僕に言う。そして続いてさらに
「ライがタゲを上手に取らなくては、こちらに下手すると攻撃が来る。」
僕は
「わかっている。責任重大だな。でも任してくれ。次はうまくやる。」
ダンジョンに入ると、大きなモンスターは突然目の前に現れた。
僕は咄嗟にモンスターに向かい走った。
まずいことにターゲット(的)がアルになってしまったようだ。
「おい、お前、相手はこっちだぞ!!」
と僕はモンスターを挑発する。
アルからモンスターを離すためだ。
アルは
「ライおい!危ないぞ!」
モンスターは思惑通り僕に向かって突進してきた。
その姿はゾッとするものであったが、今はそんなことでビビっている場合ではない。
「ヘイ!来いよ!遊ぼうぜ!」
と迎え討った。

そよそよと揺れる草。
穏やかな光が射し込む教室。
机と椅子は木で出来ていて、あちこち傷がついていた。

「みらいくん。ここか。」

教室のドアから、ぬっと現れたその姿は、まるで朝戦ったモンスターのようにデカイ大人だった。
名前を呼ばれたところで、返事するようなことはしない。
そもそも、呼んでくれとお願いしたわけでもない。

「これから30分ほど勉強をするのだが、なにをしたい?」
デカイモンスターは言った。
「知らない。つかあんた誰。」
僕は椅子をガタガタ言わせながら口を尖らせた。
「先生だ。」
デカイモンスターは当たり前だというような顔で言った。
僕は
「誰の?誰の先生?」
するとデカイモンスターは
「君のだよ。みらいくん。」
とまた言った。
僕は
「そんなのお願いしていないけど。」
とデカイモンスターの真似をして当たり前だというような顔で言う。
「君が決めていなくても、先生なんだよ。」
その大人のデカイモンスターは、少し顔を歪ませた。
大人は大抵こういう顔をする。
よく見る顔だった。
そしてこういう顔をする大人はトンチンカンなことばかり言う。

勉強しなさいとデカイモンスターは言ったが、僕はそっぽを向いていた。
外の光はキラキラ揺れる。
手をかざしてみる。
指の間から光線が放たれたかと思うと、掌は真っ赤になった。

「今日は学校で何をしたの?」
と車で迎えに来た母が聞く。
「別に。」
僕は窓から外を見ながら、下校する生徒を見ていた。
もしかしたら一緒に帰っていたかもしれない友達は、3~4名で大笑いしながらランドセルを背負って走っていた。

「そう。」
母は表情を変えずに家に車を走らせた。
いつも母はそうだ。この変えないところが助かっている。
学校はストレスだらけだ。
それなのに、帰って早々あれこれ聞かれた挙句、落胆され怒られたのでは嫌になる。
僕だって、母を失望させたくはないのだ。

自宅に到着すると、母は
「お疲れ様、ゆっくりなさいね。」
と声をかけてくれる。
僕は、うむ、と偉そうに返事し、玄関でもつれながらバタバタと自室に走る。
さあ、また冒険の世界に飛び込もう。

ログインするとアルはやはりもういた。
「こんにちは!」
そういうとアルは振り向くようにして
「おかえり。」
すると、言ったその先にもう一人誰かがいた。
「お邪魔しています。」
誰だ誰だ誰だ、と脳内はすぐさま沸騰したが、そんなことはおくびにも出さずに
「ノノ」
と反応した。
ノというのは、カタカナのノだが、まるで手を上げているみたいに見えるので挨拶によく使う。
「ノノノ」(よう!)
というような感じだ。
アルは
「なあ、俺たちでギルドを作らないかと話していたんだ。」
「そう、そうなんです。どうですか?」
もう一人の名無しはそう言う。
僕は
「どうって。ギルドって何?」
名無しは
「大人数が集まった集合体ですよ。団体ですね。簡単に言えば現実の世界の会社みたいなものです。
皆で一緒に同じエンブレムをつけて一緒に戦うんですよ。
例えば、ギルドに入ればいつもは一人でも、所属していればいつもよりも早く狩りのパーティにありつけることが出来る。
レベル上げだって手伝ってもらえたり、アイテムの情報もやり取り出来ますよね。
そして、ギルドのメンバーは、それぞれこのギルドに所属しているんだってことをちゃんと自覚してもらうとか、加入するのに条件があるところもありますよ。」
と説明をしてくれた。

この名無し。
なかなかこの世界のことをよく知っているようだ。
「だからさ、俺たちも二人で闘っているが限界があるだろう?そこでギルドを作ったらどうかって、彼の意見に乗り気なんだよ。」
と、アルが言う。
僕は、特に異論もないし、面白そうだったのでワクワクしてきた。強くなれるのならばなんでもいい。
「うん、賛成。いいじゃんじゃないかな。」
「よしっ!」
と名無しが叫んだ。
そして
「良かった!あ!俺はマニア。」
そう言われ彼の姿にカーソルを当てると「mania」と浮いて出てきた。
「うん、よろしく、僕はライ。」
と、人生初めてと思われる挨拶を僕は済ませた。

「そこで、ギルドマスターだが、ライやってくれるな。」
と、アルが突然言った。
「ああ、もちろ、え!?ちょっと待って。何故僕。」

アルとマニアはニヤニヤしてちっとも理由を答えようとはしなかった。



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